クラウド活用術

ネットを経由し外部にデータを保存することができるクラウドサービスは、震災のようにすべてを失っても、思い出の写真や貴重なデータを残せる利点があります。クラウドサービスの種類も多くなり、みなさんそれぞれうまく活用していることと思いますが、私の使い分けを再チェックし整理してみたので書いてみます。


■写真
写真はPicasaを使っています。その理由は、
・パソコン用アプリが高性能で画像の加工や管理が簡単
・アップロードや同期が楽
iPhoneではBest Albumのアプリで管理できる
・巨大企業Googleのサービスなので安心
・容量の追加が格安
パソコンのマイピクチャに保存してある写真は、すべてPicasaへアップロードしました。解像度を下げずにそのまま転送しています。Google+の利用により、2048ピクセルまでの画像なら、保存容量が無制限になったようですが、解像度の高い写真はそのまま保存したかったので、私は容量の追加を購入しました。これなら制限なく自由にアップロードできます。この追加代金が円高のおかげもありかなり安く、
20 GB(年間 $5.00 USD)
80 GB(年間 $20.00 USD)
200 GB(年間 $50.00 USD)
400 GB(年間 $100.00 USD)
1TB(年間 $256.00 USD)
となっており、私は20GB(約390円/年)を購入しました。年間契約となっていますが、1年の間に20GB(無料分が1GBあるので全部で21GB)のアップロードが可能という契約です。1年経てば元の無料分の1GBまでしかアップロードできないのですが、1年のうちに21GB分を消費しておけば、その後はアップロードができないものの(低解像度は可)、保存した貴重な写真の21GB分は半永久的に残せるわけですね。20GB分の大容量の管理された安全な金庫を、390円ほどで貸してもらえるようなものです。
20GBの次は80GBの購入枠しかないのですが、こんなにいらない場合は、別のアカウントを作り、それぞれ20GBを購入しておけばトータル40GBとなります。プライベート用と仕事用、写真用とビデオ用、プリント重視のデジイチ用と手軽に撮ったiPhoneカメラ用など、アカウントをアルバム別のように使い分けるといいかもしれません。画像がパソコンに20GB分たまった時点で追加購入し、一気にアップロードさせるという使い方だと無駄がないですね。また、800×800ピクセル以内の写真と15分以内の動画は、保存容量にカウントされないとのことなので、iPhoneで撮った短時間のビデオならいくらでも保存ができるし、iPhoneのカメラで撮った写真も、PictShareを使い解像度を変換して転送すればOKです。
Picasaの閲覧は、複数のアカウントを作った場合切り替えが必要になりますが、iPhoneではBest Albumというアプリを使えば、複数のアカウントに対応しているので難なく見れます。BestAlbumはアップロードも可能なのと、アルバム単位でキャッシュを指定できます。お気に入りのアルバムはキャッシュをオンにしておけば、iPhoneiPad側に写真が保存されるので、サクサク閲覧することが可能になります。
他にも写真の保存に向いたクラウドサービスがありますが、専用アプリの性能や使いやすさ、ウェブでの操作性や閲覧性、企業の安定度や信頼度、そのサービスを活用できる他のアプリの存在、格安な料金、広告の有無、共有機能など、いろんな面を考えるとPicasaがベストチョイスかなと思いました。


■音楽、動画、PDF
音楽は以前はmSpotやZumoDriveを使っていましたが、今はNドライブのみにしました。その理由は、
・最近のアップデートでiPhoneiPadアプリが使いやすくなった
・保存容量が無料で30GBもある
・パソコン用アプリがあり、ローカルディスク感覚で扱える
・転送が比較的高速
・1ファイルの転送制限が4GBと大容量
・ストリーミング再生なので、少し待つだけですぐ聴ける
など。ただ欠点もあり、
・プレイリスト機能やシャッフル演奏ができない
・長期間ログインしないとデータが消える
・これだけの大容量を無料で提供しているだけに、安定度や信頼度が不安
ログインの件は、180日ログインしないと確認のためのメールが送られ、それをスルーするとそれから180日後にデータが消えるというもの。そのため、普通に使っていれば問題ないし、パソコン用アプリを導入し常駐しておけば、起動のたびにログインできます。つまり自分が亡くなってしまった場合、保存データはきれいサッパリ消えてくれるわけですね。死んだあとに永遠と故人のデータが残ってしまう他のサービスのことを思うと、後腐れなくていいのかもしれませんし、クラウド側もストレージを無駄に消費しなくて済みますね。
保存や転送容量が大きいので、音楽だけでなく動画サイトからダウンロードしたファイルの保存にも使おうかと思っています。iPhoneで撮ったプライベートビデオなどはPicasaに保存しています。また、radikoを聴いたり録音したりできるradikaというアプリや、ものすごく多くのネットラジオを再生、保存ができるRadioSureのパソコンアプリを使えば、その録音の保存先をNドライブにしておくことで、パソコンで録っておいてiPhoneで聴くということが可能になります。radikaは番組表を見ながら録音予約もできるし、RadioSureは曲ごとに保存ができます。
また、PDFのバックアップとしても便利です。NドライブのアプリをiPhoneiPadで使ったときのPDFの閲覧は、各ページをサムネイル表示することができ、移動や拡大もスムーズ。そしてダウンロードしてローカル保存も可能です。他のアプリへ渡せる機能がないのが残念。


■各種作業ファイル
一時保存ファイルや画像、紙copiデータ、他の端末でも扱いたいファイルなど、ブリーフケースのような使い方をするための保存先は、SugarSyncを利用することにしました。理由は、
・無料で使える容量が5GBとDropboxよりも多い
・アプリを導入し常駐させることで自動同期できる
・自分が指定した複数のフォルダをそれぞれ同期できる
iPhoneiPad用アプリで利用可能
同期フォルダを指定できるので、アプリのデータの保存先や、デスクトップのフォルダを保存しておくのも便利です。USBメモリへ入れておける、インストール不要のポータブルタイプのアプリも、同期フォルダに保存しておくと便利ですね。


■ドキュメント
Wordを使い、保存先をクラウドの同期フォルダにしておいてもいいのですが、パソコンがいつも常時回線の環境であり、iPhoneiPadでも使いたいとなると、Googleドキュメントの利用が便利です。理由は、
・ウェブアプリが使いやすく進化もしている
・メールと連携しやすい
iPhoneではRainbowNoteと同期ができる
iPhoneiPadの双方ではAwesomeNoteやNoteMasterと同期ができる
・ドキュメントに関しては保存容量が無制限
・SyncDocsの利用
最後のSyncDocsというのは、このアプリを導入することで、Googleドキュメントのファイルがパソコンにあるフォルダにコピーされ、同期できるようになるのですね。そのため、オフラインでGoogleドキュメントのファイルをWordやOpenOfiice Writerなどで編集することが可能になります。また、パソコン側に保存されたファイルは、関連付けを変更するか、右クリックで開くアプリを選択することで、Wordだけでなく、Googleドキュメントで直接開くことも可能です。そして、常駐しているこのアプリのアイコンか、スタートメニューからドキュメントの新規作成を開始することが可能です。スタートメニューの方にショートカットキーを指定しておけば、一発でGoogleドキュメントの新規作成画面を開くことができます。


■ファイルのバックアップ
私は過去にASUSネットブックを買ったおかげで、ASUS WebStorageを無料で20GB使えているためこれを利用しています。利点は、
・保存したいファイルを右クリックからアップロードできる
・同期したいフォルダを指定できる
ただ、もし私がASUSを使っていなければ、SkyDriveを使っていることかと思います。理由は、
マイクロソフトなので信頼度が高い
・無料で25GBと大容量
Gladinet Cloud Desktopの併用で扱いが楽
iPhoneからでもブラウザからモバイル表示で確認できる
Gladinet Cloud Desktopというのは、各クラウドサービスをネットワークドライブのように扱うことができるアプリで、無料版を使っているのですがとても便利です。

対応しているのはSkyDrive、Picasa、Box.netなどいろいろあり、最近ではGoogleドキュメントにも対応しました。
フォルダ単位で自由に扱えるのと、同じクラウドでも複数のアカウントを登録可能で、ログインなしで扱えます。Picasaへ写真を保存するとき、私はいろんな写真を撮ったものは、フォルダ名を201108と年月にして時系列に保存しているのですが、このフォルダを丸ごとPicasaのドライブへドラッグすれば、Picasaのアプリを使わなくても転送がOKなんですね。これはローカルにあるファイルと同期するものではなく、各クラウドへの送受信の窓口として利用するものなので、マイコンピュータ内のGladinetのドライブにあるファイルはオンラインでしか使えないし、表示するにはダウンロードを待つ必要があります。しかし、複数のクラウドを一元化して扱えるし、保存容量も把握でき、整理が簡単になります。パソコンを休止状態から復帰したりすると、たまにエラーとなりファイルが表示されないときがありますが、そのときは常駐しているこのアプリを一旦終了させ起動しなおすと正常になるようです。


■テキスト、ウェブクリップ
テキストは下書きのような使い方をするにはCatch Notesを、保存閲覧にはEvernoteを使っています。iPhoneiPadでは、Evernoteは起動時に同期にもたついたりインターフェイスに面白みがないので、Awesome Noteを使いEvernoteはバックアップとして使っています。
ウェブクリップはあとで読む的なものはRead It Laterを使い、完全に保存したいものはEvernoteへ送っています。iPhoneiPadで作成した手書きメモの保存も、Awesome Note↔Evernoteを使っています。
パソコンではシンプルで実用的な紙copiも便利で、メモだけでなくウェブクリップも可能。小さなウィンドウで扱えるので、ちょっとした覚書やウェブからのネタや情報集めのコピペなど、メモ帳代わりに常駐させておくと何かと重宝します。今回のこのエントリーも、下書きにCatch Notesを、ウェブからの覚書に紙copiを利用しています。


というわけで、高速常時回線と、クラウドストレージの大容量化、ウェブアプリの進化などのおかげで、便利に活用できるようになりましたね。私はWiMAXを使うようになり、自宅でも出先でもADSL並の速度でアクセスできるようになったおかげで、クラウドの利用は特に重宝しています。iPhoneクラウドと連携したアプリが登場してくれるおかげで、16GBモデルでも十分間に合うようになりました。ただ、ソフトバンクの3G回線は実質速度はかなり遅いし、スマートフォンの需要が増えると今後は回線がますます厳しくなるらしいので、3Gは電話とメール、あとはWiMAXという感じで使ったほうがストレスなく快適のようです。ちなみに自宅では、下りで6Mbpsほどの速度です。